この本は、神学論文や公式な立場表明として書かれたものではありません。 あくまで、ある一人の旅の記録——祈りと問い、出会いと思索に満ちた物語としてお受け取りください。
本書で触れられている「すべてのものの回復(アポカタスタシス)」に関する希望は、正教会における終末論(エスカトロジー)の領域に関わるものです。 この領域は、伝統の中でも「神秘」として慎重に扱われてきました。
正教会は、以下の根本的な真理を堅く信じています:
正教会は、語りすぎないことの中に神秘的な敬虔さ(アポファティック)を見出します。 そして、「永遠がどのように成就するか」を細かく定義せず、神の愛にすべてを委ねています。
このような理由から、教会の歴史の中には、このような希望を抱きながら生きた聖人や長老、神学者たちも存在しました。 それは教義としてではなく、キリストの勝利と神の憐れみに対する深い信頼として受け継がれています。
ですから、読者の皆さまには、この本を「答えの書」としてではなく、 神の義と憐れみの間にある希望に満ちた緊張の中を歩む、一人の信仰者の証しとして読んでいただければ幸いです。
「地獄に心を置き、しかも絶望するな。」
– アトス山の聖シルワン
この本は、その言葉の精神に倣い、闇に正直でありながら、決して希望を手放さない祈りとして書かれました。